ハラスメントには、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティーハラスメントがあります。

今回は、ある経営者様からパワハラのご相談です。
若い社員がディズニーランドへ行くことを伝え、年休取得をしました。ミッキー達に出会い楽しんでいると、スマホへ上司から1通のメールが入りました。内容は「来週の勤務シフトを変更してくれないか」。それを見た瞬間、楽しさも興ざめしてしまい、せっかくの休日にリフレッシュできなかったと涙まじりに訴えてきたというのです。

それを聞いた経営者様は、上司に部下の休日中に、なぜ緊急を要しないメールをしたのかを聞いてみました。
上司は「思いついたときに連絡しておかないと自分が忘れてしまう。常に仕事のことを考えているので、オンオフなんて関係ない」と理由を述べ、さらに「メールの返信は明日でいいよと前置きし、返信を強制していない。そんなことで会社に訴えて来たのですか」と逆ギレしたというのです。

経営者様は、両者の言い分は理解できるが、この上司の行動はパワハラに該当するでしょうかと質問をされました。私は、パワハラに該当するとお伝えしました。

厚生労働省が示すパワハラの定義は、
①優越な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲をこえたもの
③労働者の就業を害するもの


休日、時間外のメールやグループチャットが、すべてパワハラというわけではありません。それらの送信頻度や内容次第でパワハラとみなされるということです。
今回の勤務シフトの変更程度であれば、出勤後でも十分対応できると考えられるので、パワハラに該当するとお伝えしました。もし上司が返信しないことを理由に部下を責めたり、強制するようなことになれば、今後、部下はその時間に対して割増賃金を請求するでしょう。
会社が応じなければ、部下は労働時間ではないと思い、メール等を無視するようになるかもしれません。


今、世界では「つながらない権利」が導入されています。主要国では、2017年フランスで導入され、社員50名以上の会社に対して勤務時間外の社員の完全ログオフ権利(メール等のアクセス権を遮断する権利)を盛り込んだ定款を企業に義務付けました。イタリアも同種の法令を整備しています。
日本政府の反応は鈍く、厚生労働省が3月に改訂したテレワークガイドラインでは、長時間労働対策として「時間外メールの自粛が有効」と明示しているだけで、上記権利については一切触れていません。
今後、休日、時間外のメールやグループチャットはパワハラ行為の一つとして取り扱われ、遅かれ早かれつながらない権利導入になるでしょう。


2022年4月から中小企業にパワハラ防止法(大企業はすでに適用)が適用されます。


経営者は、人材確保が困難な時代に優秀な社員がパワハラで辞めてしまわないよう努力する必要があります。先程の上司のように会社のために行ったことが、実は自分本位の言動であり、部下にとって苦痛に感じることがあります。

パワハラの最大原因は、上司自身が自分の言動をパワハラだと思っていない、無自覚だということです。ハラスメントは、いつでも「ハラスメント行為を受ける側がどう思うか」が基本になります。
経営者は、上司へどんな言動がパワハラに該当するかを教えていかなければなりません。
ハラスメント問題やパワハラ法改正でお困りの時は、いつでも弊社へご相談ください。